ハリー:ナイトをE-5へ。
  ロン:クィーンをE-5へ。
ハーマイ:何これ、野蛮じゃない?
  ロン:魔法使いのチェスだよ。帰る用意した?
ハーマイ:あなたは帰らないの?
  ロン:予定が変わったんだ。パパとママはルーマニアに行くって。
     チャーリー兄さんに会いにね。ドラゴンの研究してるんだ。
ハーマイ:じゃ、ハリーを手伝ってあげて。ハリーは図書館に行って
     ニコラス・フラメルのことを調べるって。
  ロン:もう、百回も調べたじゃないか!?
ハーマイ:閲覧禁止の棚…まだでしょ?よいクリスマスをね。
  ロン:あいつ僕らのせいでワルになったな。


  ロン:ハリー、おきて!ほら、起きてってば!
     メリー・クリスマス、ハリー。
 ハリー:メリー・クリスマス、ロン。何着てるの?
  ロン:これ…ママの手作り。君にもプレゼントあるよ!
 ハリー:僕にプレゼント?
  ロン:あぁ!
 ハリー:わぁ!
  ロン:ほら、そこ。
 ハリー:プレゼントなんて初めてだ!
     君のお父さんから預かっていた物だ。君に返す時が来た。上手に使いなさい。
  ロン:何それ?
 ハリー:何かの…マントみたい。
  ロン:へぇ、じゃ来てごらんよ。ぅわーお。
 ハリー:体が消えた!
  ロン:僕それ知ってるよ!それ、透明マントだよ!
 ハリー:僕、透明?
  ロン:それ滅多にないよ。誰がくれたんだろう?
 ハリー:名前がない。…ただ、上手に使いなさいって。


 ハリー:悲劇の魔術師、不滅の15世紀の悪党達…
     フラメルはどこだ?ニコラス・フラメル…
   本:うおおぉぉぉ!
フィルチ:誰だ!いるのはわかっておる。隠れても無駄だ。誰だ!出て来い。
クィレル:セ、セブルス!?ぁ、ぃ…いや、私は…
スネイプ:私を敵にまわしたくはないだろう?
クィレル:は…話がさっぱり…。
スネイプ:よくおわかりの筈だ。近々また話すとしましょう。
     その時までにどちらの側につくのか決めておくんですな。
フィルチ:あぁ、先生。これが、閲覧禁止のところに。
     まだ温かい。生徒がうろついてるようですな。

 ハリー:ママ?パパ?
     …ロン!すごいもの見つけたんだよ!君も見てよ!
     ロン、起きてよ!僕と一緒に来て!
  ロン:何で?
 ハリー:見せたいものがあるんだってば!来てよ!
     こっちだ、見て!僕のパパとママ!
  ロン:ただの鏡じゃないか。
 ハリー:よーく見て。ここに立って。ね?見えただろ?
  ロン:僕が見える!勉強で主席を取って、
     クィディッチで優勝してる!うわ、スゴイや僕。
     クィディッチのキャプテンだよ!最高だな。
     ハリー、これって未来を見せる鏡なの?
 ハリー:まさか…パパとママは死んだのに。


ダンブル:また来たのかね、ハリー。
     君も多くの人々と同じように『みぞの鏡』のとりこになったようじゃな。
     この鏡は何をしてくれるかもう気付いたじゃろう。ヒントをあげよう。
     世界一の幸せ者がこの鏡を見たらそこに映るのはいつも通りの自分。
 ハリー:これは、見る人の望みを映すんですね?
     何でも、欲しいものを。
ダンブル:そうとも、違うとも言える。この鏡が映すのは心の一番奥にある
     一番強い望みが見える。
     ハリー、君は家族を知らないから家族に囲まれた自分が映ったのじゃ。
     だが覚えておくのじゃ。この鏡は真実も知識も与えん。
     これに魅入られ身を滅ぼした者が何人もいる。
     明日にはこれを別の場所に移すつもりじゃ。くれぐれも言っておく。
     2度とこの鏡を探すでないぞ。夢に浸って生きるのを忘れてはならん。
     よいな、ハリー。


ハーマイ:全然違うところを探させちゃったわ。
     どうして、私忘れてたのかしら。ずいぶん前に借りた本。
     軽い読み物だけど。
  ロン:軽い?これが?
ハーマイ:あったわ、ここよ。ニコラス・フラメルは賢者の石を作り出した人である。
ロンハリ:なにそれ?
ハーマイ:本読まないの、あなた達?
     賢者の石は恐るべき力を秘めた伝説の物体で、いかなる金属をも黄金に変え、
     命の水を生み出す。これを飲めば不老不死となる。
  ロン:不老不死?
ハーマイ:死なないってことよ。
  ロン:そのくらいわかるよ!
 ハリー:しーっ。
ハーマイ:現在存在する唯一の石はニコラス・フラメルが所有している。
     フラメル氏は有名な錬金術師で去年665歳を迎えた。
     …フラッフィーが守ってるのはこれよ!
     仕掛け扉の下にあるのは賢者の石よ。


 ハリー:ハグリッド!
 ハグリ:あぁ、悪いな。今日はお前さんらと遊んでる暇はないんだ。じゃあな。
  3人:賢者の石のことだよ!
 ハグリ:何?
 ハリー:スネイプが盗もうとしている。
 ハグリ:スネイプ?バカ言え、まだ疑ぐってるのか?
 ハリー:本当に石を狙ってるんだよ!何故だか知らないけど。
 ハグリ:スネイプは石を守ってる先生の一人だ。
     盗んだりするわけなかろう。
 ハリー:なんだって?
 ハグリ:聞こえたろうが。さぁ、もう帰れ。今日はそれどころじゃねぇ。
 ハリー:ちょっと待って。"先生の一人"って?
ハーマイ:わかった!何人もの人があの石を守ってるのね。
     呪文や魔法をかけて。
 ハグリ:そういうこと。まぁフラッフィーがいりゃ大丈夫だな。
     あいつの守りは鉄壁さ。あれをなだめられるのは俺とダンブルドアだけだ。
     いけねぇ、これも内緒だった…おぉう、あちち。
 ハリー:ねぇ、ハグリッド、これ一体何なの?
 ハグリ:こいつぁなぁ、なんちゅーか…
  ロン:僕なんだか知ってるよ!ハグリッド、どこで手に入れたの?
 ハグリ:賭けでもらった。パブであった知らない奴から。
     向こうもこいつを持て余してたみたいだし。
ハーマイ:これって…ドラゴン?
  ロン:ただのドラゴンじゃないよ、ノルウェー・リッジバックだ。
     チャーリー兄さんがルーマニアで研究している種類だよ。
 ハグリ:見事だ…ちゃーんとママがわかってるぞ。
     いい子だ、ノーバート。
 ハリー:ノーバート?
 ハグリ:あぁ、名前は付けてやらんと。ほーら、ノーバード、よーちよちよち。
     ちょっとしつけが必要だな。ありゃ、誰だ?
 ハリー:マルフォイだ。
 ハグリ:こりゃ、いかん。


 ハリー:ハグリッドは前から言ってたんだ。
     ドラゴンが欲しくてたまらないって。
  ロン:やばいよ。マルフォイにまで見られちゃったし。
 ハリー:どうして困るの?悪いこと?
  ロン:悪いさ…
マクゴナ:こんばんわ。


マクゴナ:いいですか。どんな理由があろうと夜中に抜け出して
     学校を歩き回ってはいけません。
     今回の規則違反の罰として、50点減点します。
 ハリー:50点!?
マクゴナ:一人50点です。2度と同じことを起こさぬよう4人には処罰を与えます。
 ドラコ:すみません、先生。聞き違いでしょうね?
     今、4人とおっしゃいました?
マクゴナ:その通りです、ミスター・マルフォイ。
     事情はどうあれ、あなたも消灯時間を過ぎて出歩いていたのです。
     あなたも一緒に罰を受けるべきです。


フィルチ:昔はもっと厳しい罰があった。
     両手の親指を紐でくくって地下牢に吊るしたりしたもんだ。
     あの叫び声が聞きたいねぇ。今夜の処罰はハグリッドと一緒だ。
     一仕事してもらうよ。暗い森でな。哀れな生徒達だ。
     なんじゃい、まだあんなドラゴンのことでめそめそしてんのか?
 ハグリ:ノーバートはもういねぇ。ダンブルドアがルーマニアに送った、仲間の所に。
ハーマイ:その方が幸せじゃない、仲間といられて。
 ハグリ:ほんでも、ルーマニアが嫌だったら?
     他のドラゴンにいじめられたらどうする?まだほんの赤ん坊なのに。
フィルチ:いい加減にしゃきっとすることだな。
     これから森に入るんだぞ。覚悟していかないと。
 ドラコ:森へ!?冗談じゃない…森へ行くなんて。
     生徒は入っちゃいけないはずだよ。だって森には狼男が!
フィルチ:それよりももっと怖いのがおる。せいぜい怖がれ。
 ハグリ:よし、行こう。
 ハリー:ね、ハグリッド。それは何?
 ハグリ:探してたものだ。見ろ、ユニコーンの血の痕だ。
     この間も一頭死んどった。こいつはだいぶひどい怪我をしてるらしい。
     いいか、俺達で傷ついたユニコーンを見つけるんだ。
     ロンとハーマイオニーは俺と来い。
  ロン:わかった・・・。
 ハグリ:ハリーはマルフォイと一緒に行け。
 ドラコ:OK。じゃあファングを貸して!
 ハグリ:良かろう。言っておくがファングは臆病だぞ。


 ドラコ:父上が聞いたら何て言うか。こんなの召使の仕事。
 ハリー:ドラコ、まさかとは思うけど、君もしかして怖い?
 ドラコ:怖い?僕が?・・・今の聞いたか?来い、ファング。
 ハリー:ファング、どうした?
 ドラコ:ぅわあああぁぁぁ!助けてー!
フィレン:ハリー・ポッター。森から出なさい。森の者は君を知っている。
     今この森は安全じゃない。君にとってはね。
 ハリー:さっき、僕を襲ってきたものはなんだったの?
フィレン:恐ろしい怪物だよ。ユニコーンを殺すのは大きな罪だ。
     ユニコーンの血を飲めば死にかけた命も蘇らせる事ができる。
     だが、代償は大きい。
     純粋な生き物を殺し、その血が唇に触れた瞬間からその者は呪われる。
     生きながらの死だ。
 ハリー:そうまでして誰が生きたいの?
フィレン:誰だと思う?
 ハリー:もしかして・・・さっきあのユニコーンを殺してその血を飲んでいたのは、
     ヴォルデモートだったの?
フィレン:今学校に何が隠されてるか知っいてるかい、ポッター君。
 ハリー:賢者の石・・・。
ハーマイ:ハリー!
 ハグリ:やぁ、フィレンツェ。ポッター2世と会ったようだな。
     無事か、ハリー。
 ハリー:うん。
フィレン:ハリー・ポッター、ここでお別れだ。もう大丈夫。幸運を。


ハーマイ:それじゃあ、例のあの人があの森の中に潜んでるっていうの?
  ロン:でも弱っててユニコーンの血で生きてる。
 ハリー:スネイプが石を欲しがっていたのは自分のためじゃなかったんだ。
     ヴォルデモートのためなんだよ。
     あの石があればヴォルデモートは力を取り戻せる。
     そして、復活するんだ。
  ロン:でも復活したらあいつは君の事・・・殺す気だと思う?
 ハリー:たぶんチャンスがあれば今夜殺す気だったと思う。
  ロン:そんな時に僕、期末試験の心配してたなんて。
ハーマイ:ちょっと待って。大事なこと忘れてない?
     この世で唯一人ヴォルデモートが恐れているのは誰?
     ダンブルドアよ。ダンブルドア先生がいる限りハリーは大丈夫。
     あなたには指一本触れさせやしないわよ。


ハーマイ:ホグワーツの学年末試験は怖いって聞いてたわ。
     でも意外と面白かったわね。
  ロン:よく言うよな。どうした、ハリー?
 ハリー:傷が…ずきずきする。
ハーマイ:前にもあったわね。
 ハリー:こんなんじゃない。
  ロン:医務室に行ったら?
 ハリー:きっと危険が迫ってるって知らせてるんだ。…そうか、そうだよ!
ハーマイ:どうしたの?
 ハリー:話がうますぎるよ。
     ドラゴンを欲しがってるハグリッドの前にちょうど
     それを持っている人が現れるなんて!
     普通、ドラゴンの卵を持ち歩いてる人なんていないよ。
     早く気付けばよかった!
     ハグリッド、ドラゴンの卵をくれたのはどんな人だった?
 ハグリ:さぁな、フードを被ってて顔は見てねぇ。
 ハリー:でもその人と話はしたんだよね?
 ハグリ:まぁな。どんな動物を世話してるかって聞かれて
     フラッフィーに比べりゃドラゴンなんか楽なもんだって言ってやった。
 ハリー:フラッフィーに興味持ってた?
 ハグリ:そりゃ興味持つに決まってんだろう。
     頭が3つある犬なんてそういねぇ、魔法界でもな。
     で、言ってやったんだ。なだめるコツさえ知ってりゃ
     どんな怪物も怖かねぇ。
     フラッフィーの場合はちょいと音楽をきかせりゃねんねしちまう。
ハーマイ:それだわ!
 ハグリ:いけねぇ、内緒だった。どこ行く!?おい!


 ハリー:ダンブルドア先生にいますぐ会わせて下さい!
マクゴナ:ダンブルドア先生ならお留守です。
     魔法省から緊急のふくろう便が来て、すぐロンドンに発たれました。
 ハリー:お留守!?でも、大事な事なんです!賢者の石のことなんです。
マクゴナ:なぜその事を・・・。
 ハリー:石を盗もうとしている人がいる。
マクゴナ:どこであの石のことを聞いたのか知りませんが守りは万全です。
     ですから寮にお戻りなさい。騒がずに。


 ハリー:ハグリッドにドラゴンをくれた人は絶対スネイプだよ。
     スネイプはフラッフィーのなだめ方を聞き出したんだ。
ハーマイ:ダンブルドアもいないし…
スネイプ:どうかしたかな?グリフィンドールの諸君、
     こんな天気のいい日に外にも出ずに何をしてるんだね?
ハーマイ:あ、その・・・私達ただ・・・
スネイプ:気をつけたまえ。怪しまれますぞ、企みでもあるかと。
ハーマイ:ハリー、どうする?
 ハリー:石を探しに行く。今夜だ。


 ハリー:トレバー!
  ロン:トレバー、シーッ。ここにいちゃいけないよ!
 ネビル:君たちもだろ?また抜け出すつもりなんだね?
 ハリー:ネビル聞いてよ。僕たちどうしても・・・
 ネビル:駄目だ!行かせないよ。またグリフィンドールの点が減る。
     ぼ、僕戦うぞ!
ハーマイ:ネビル、本当はこんな事したくないけど。
     ペトリフィカルス・トタルス。
  ロン:君って時々おっかないよね。そりゃあさ、すごいけど。
     ・・・でも怖いよ。
 ハリー:行こう。ごめん。
ハーマイ:ごめんね。
  ロン:君のためなんだよ、本当。


ハーマイ:ちょっと、足踏まないでよ。
  ロン:ごめん。
ハーマイ:アロホモラ。
  ロン:ちょっと待てよ、こいつ…
 ハリー:いびきをかいてる。先にスネイプが来てハープに魔法をかけたんだ。
  ロン:うぅっ、臭い息。
 ハリー:足をどかそう。
  ロン:えぇ!?
 ハリー:急がなくっちゃ。いくよ。押して!
     僕が先に行く。合図するまで降りてこないで。
     もしも何か起こったら、君たちだけで逃げるんだ。
     …さっきより静かになったぞ。
ハーマイ:ハープよ。音が止まった。
  ロン:うわぁ、うぇ。
 ハリー:跳べ!行け!
  ロン:あぁぁぁ!この植物のおかげで助かったな。
ハーマイ:2人とも、動いちゃ駄目。これは悪魔の罠よ。
     いい、落ち着いて。暴れるほど早く殺されちゃうわよ。
  ロン:早く殺される!?そりゃ落ち着いていられる訳だ!
ロンハリ:ハーマイオニー!
  ロン:どうしたらいいんだよ!
ハーマイ:落ち着いて、じっとして。
 ハリー:ハーマイオニー、どこ!?
ハーマイ:言った通りにして。信じて。
  ロン:ハリー、ハリー!
ハーマイ:大丈夫?
 ハリー:あぁ、大丈夫。
  ロン:わぁ、助けて!
ハーマイ:ロンはじっとしてないの?
 ハリー:してないみたい。
ハーマイ:なんとかしなくっちゃ!
 ハリー:どうする?
ハーマイ:あぁ、薬草学の本でなんか読んだの。
     えぇっと、悪魔の罠…悪魔の罠…苦手なものは…そう、お日様の光!
     そうだわ!あれは太陽が嫌いなの。ルーモス・ソレーム!
  ロン:あぁぁぁぁ!
ハーマイ:大丈夫?
 ハリー:ロン、大丈夫?よし。
  ロン:ふぅ、落ち着いてたおかげだ。
 ハリー:ハーマイオニーが勉強してたおかげだよ。
ハーマイ:っ!何かしら?
 ハリー:なんだろう?羽の音みたい。
ハーマイ:不思議。こんな鳥見たことない。
 ハリー:鍵だ。鍵鳥なんだ。どれかがドアを開ける鍵だ。
ハーマイ:どうなってるの?
 ハリー:わからない。…変だな。
  ロン:アロホモラ。一応、やってみたけど…。
ハーマイ:もう、どれが鍵なの?何千羽も飛んでるわね。
  ロン:古い、大きな鍵だよ。たぶん錆びてるんじゃない?
 ハリー:あれだ!きっとあれだよ!羽が折れた奴!
ハーマイ:どうしたの、ハリー?
 ハリー:…簡単すぎる。
  ロン:飛んで鍵を取れよ!スネイプに出来たなら
     君にも出来るさ。百年ぶりの最年少シーカーだもん!
     …簡単じゃなさそうだね。
 ハリー:鍵を捕まえて!
  ロン:急げ!
ハーマイ:頑張って、ハリー!早く!


ハーマイ:なんか嫌な感じ。すっごく嫌な感じ。
 ハリー:どこだろう?墓地かな?
  ロン:いや、墓地じゃない。チェスの盤の上だ。
 ハリー:ドアがある!
ハーマイ:どうしたらいいの?
  ロン:チェスの試合をして向こう側に行くしかないだろう?
     よし。ハリー、君はビショップの位置について。
     ハーマイオニー、君はクィーン側のルーク。僕は、ナイトの位置だ。
ハーマイ:この後、どうするの?
  ロン:まず先手は向こうの白の駒。次が、僕たちだ。
ハーマイ:ロン、まさか本物の魔法使いのチェスを
     ここでやるんじゃないわよね?
  ロン:D-5に動け!そうだよ、ハーマイオニー。
     このゲームはまるっきり魔法使いのチェスと同じだ。
     …ルークをE-4へ移動!ポーンをC-3へ!…
 ハリー:ちょっと待って。
  ロン:はぁ。わかった、ハリー?この次の一手で僕はクィーンに取られる。
     そうすれば君がチェックメイトだ!
 ハリー:ロン!駄目だ、やめろ!
ハーマイ:どういうこと?
 ハリー:自分が犠牲になるつもりだ!
ハーマイ:駄目よ、ロン!他に方法があるはずよ!
  ロン:スネイプに賢者の石を盗まれてもいいのか?ハリー、進むのは君なんだ。
     僕にはわかる。僕でもハーマイオニーでもなく、君なんだ!
     …騎士をH-3へ…チェック。あぁぁぁ!
 ハリー:ロン!駄目だ、動くな!ゲームはまだ続いてるんだ。…チェックメイト。
     ロンを頼むよ。ふくろうを飛ばしてダンブルドアに知らせて。
     僕はロンの言う通り進まなくちゃ。
ハーマイ:あなたなら大丈夫よ、ハリー。あなたは偉大な魔法使いだわ。
 ハリー:君ほどじゃないよ。
ハーマイ:私なんてただ勉強が出来るだけ。もっと大事なものがあるわ。
     友情とか勇気とか。ハリー、気をつけてね。


 ハリー:あなたが?まさかそんな!スネイプのはずだ!だって…。
クィレル:彼はいかにも怪しげに見える。
     スネイプがいれば、誰がこんなクィレル教授を怪しむかな?
 ハリー:でもスネイプはクィディッチの試合で僕を殺そうとして…。
クィレル:スネイプではない、私が殺そうとした。
     あの時スネイプのマントが燃えた拍子に目を離さなければ
     うまくいっていたのに。スネイプは反対呪文で邪魔していたのだ。
 ハリー:スネイプが僕を助けようとした?
クィレル:お前は目障りだったのだよ。…特にハロウィーン以降。
 ハリー:じゃ、トロールを入れたのも…?
クィレル:そう、私だ。だが、スネイプはだまされなかったがな。
     みんな地下室へ急いだのにあいつだけは3階へ向かった。
     あいつは常に私を疑っている。一人きりにはしなかった。
     だが、あいつは知らん。私は一人ではない。決して。
     さぁ、鏡には何が映る?あぁ、見えるぞ。賢者の石を持つ私が。
     どうやって手に入れる?
 ヴォル:その子を使え。
クィレル:ここへ来い、ポッター!早く!
     答えろ…何が見える?どうした、何が見える!?
 ハリー:ぼ、僕がダンブルドアと握手してる。グリフィンドールが優勝して…。
 ヴォル:嘘だ。
クィレル:本当のことを言え!何が見えるんだ!?
 ヴォル:わしが直に話す。
クィレル:あなたはまだ弱ってらっしゃいます。
 ヴォル:その位の力ならある。
     …ハリー・ポッター。また会ったな。
 ハリー:ヴォルデモート…。
 ヴォル:そうだ。見ろ、この姿。
     こうして人の体を借りねば生きられぬ、寄生虫のような様を。
     ユニコーンの血でかろうじて生きているが体はとどめられなかった。
     だからあるものさえ手に入れれば、自分の体を取り戻す。
     そのポケットにある石だ。捕まえろ!馬鹿な真似はよせ。
     死の苦しみを味わうことはない。わしと手を組んで生きればよいのだ。
 ハリー:嫌だ!
 ヴォル:ははっ、愉快だなぁ。親に良く似ておる。どうだ、ハリー?
     父と母にもう一度会いたくはないか?2人でなら呼び戻せる。
     その代わりにある物をよこせ。そう、それだよ、ハリー。
     この世に善と悪などないのだ。
     力を求める強き者と求めぬ弱き者がいるだけだ。
     わしとおまえなら全て思いのままにできる。さぁ、その石をよこせ!
 ハリー:やるもんか!
 ヴォル:殺せ!
クィレル:あっ、あぁぁぁぁ!!なんだ、この魔法は!?
 ヴォル:馬鹿者!早く石を奪え!
クィレル:わあぁぁぁ!
 ヴォル:ぅおおぉぉ!
 ハリー:あぁぁぁ!

《医務室にて》
ダンブル:起きたのかね、ハリー?おぉ、贈り物じゃの。君の崇拝者だ。
 ハリー:崇拝者?
ダンブル:地下室でクィレル教授と君の間に起きた出来事は秘密じゃ。
     つまり、秘密ということは皆が知っておる。
     おぉ、この蛙チョコ、ロンが君に成り代って開けたようじゃ。早々と。
 ハリー:ロンは、無事なんですか?ハーマイオニーは?
ダンブル:大丈夫。2人とも元気じゃよ。
 ハリー:石はどうなったんですか?
ダンブル:慌てるでない。石は砕いてしまった。
     ニコラスと私で話し合ってな。こうするのが一番だと決めたのじゃ。
 ハリー:それじゃあ、ニコラスは死んでしまうんですか?
ダンブル:命の水は死のそなえをする位はたくわえがある。
     その後に死ぬことになろうの。
 ハリー:僕はどうやって石を?鏡を見てたら急に手の中に…。
ダンブル:あぁ、それはな、石を得られるのはあの石を探し求め、
     見つけても使おうとは思わない、そういう者だけが
     …どうじゃ、なかなか思いつかんじゃろうが。
     ここだけの話だがな。我ながらいいアイデアじゃ。
 ハリー:石がなければヴォルデモートは2度ともどっては来ないんですね?
ダンブル:あぁ、残念じゃが戻る方法はまだある。
     ハリー、どうしてクィレルが君に手を出せなかったかわかるかね?
     お母さんのおかげじゃ。命と引き換えに君を守った。それが君に印を残した。
     あ、いや、目に見えない印じゃ。君の肌にそれが残っておる。
 ハリー:どんな印を…?
ダンブル:愛じゃよ、ハリー。愛じゃ。
     おや、バーティボッツの百味ビーンズじゃないかね。
     わしは若い時、ゲロの味に当たってしまってのう。
     それ以来嫌いになってしもうた。
     …でも、このタフィーなら大丈夫そうじゃ。
     んん、何と!耳くそ味じゃ。


《ホグワーツの廊下》
 ハリー:元気、ロン?
  ロン:元気だよ。君は?
 ハリー:大丈夫。ハーマイオニーは?
ハーマイ:元気一杯。


ダンブル:また1年が過ぎた。今年の最優秀の寮を表彰したいと思う。
     では、得点を発表しよう。
     第4位グリフィンドール、312点。
     第3位ハッフルパフ、352点。
     第2位はレイブンクロー。得点は426点。
     そして、第1位は472点で、スリザリンじゃ。
     よーしよしよくやった、スリザリンの諸君。
     だがのぅ、最近の出来事も勘定に入れなくてはなるまい。
     ギリギリで得点をあげた者がいる。
     まず、ハーマイオニー・グレンジャー。
     冷静に頭を使って見事仲間を危機から救った。50点。
 ハリー:いいぞ!
ダンブル:次にロナルド・ウィーズリー。
     ホグワーツでも近年まれに見るチェスの名勝負を披露してくれた。50点。
     …そして。3人目はハリー・ポッター。
     その強い意志と卓越した勇気をたたえたい。
     そこでグリフィンドールに60点。
パーシー:やったな。
ハーマイ:スリザリンに並んだわ!
ダンブル:そして最後に。敵に立ち向かうのは大変勇気がいること
     じゃが、友達に立ち向かうのはもっと勇気がいる。
     その勇気を称え10点をネビル・ロングボトムに。
 ハリー:やったー、ネビル!
ダンブル:さて、わしの計算に間違いがなければ表彰式の飾り付けを変えねばの。
     では、グリフィンドールに優勝カップを!
 ハグリ:ぃよーっし…おっと。よし。
  リー:わぁ、やったー!優勝した!


《汽車の前》
 ハグリ:さぁさぁ、急げ。遅れるぞ。もうすぐ汽車が出る!みんな急げよ!
ハーマイ:行きましょう。
 ハリー:待って。
 ハグリ:さよならも言わずに行っちまうかと思った。
     お前さんに。
 ハリー:…ありがとう。
 ハグリ:さぁもう行け、遅れるぞ。行け。
     あぁ、そうだ、ハリー。
     もしあの馬鹿いとこのダドリーに何か悪さされたら…なんだ、脅してやれ。
     豚の尻尾に似合う耳をつけてやるとな。
 ハリー:でもハグリッド。学校の外で魔法は使えない。知ってるでしょう?
 ハグリ:知ってるとも。だが、ダドリーは知らん。だろ?さ。
ハーマイ:家に帰るのって、変な感じね。
 ハリー:帰るんじゃないよ、僕はね。


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